わりと学校近くにできた新しいアイス専門のお店はけっこう混んでいて。
涼しい店内に入りたいのは山々なのだが、人混みの中が苦手なあたしは入口手前で待っていた。
そして少しして観月が戦場(あたしにはそう見える)から帰ってきて、手渡してくれたアイスに衝撃を受けたのだった。
「…アヤ、どろどろになってきた。」
隣を歩いている観月に、上からイチゴ・バニラ・イチゴの順に三段に重ねられたアイスを見つめながらそう言った。
「舐めちゃえ」
と、アヤは全然余裕そうな顔でアイスを食べていた。
その、アイスを決して垂らさない器用な食べ方をしているアヤを見ていると、なんだかうまく生きていけそうな人だなって思う。
もしかしたら、さっきの数学の問題集の答えも合ってるかもしれない。
「蕾、どっか行きたいとこある?」
舌がつりそうになるぐらいアイスを舐めるのに必死になってるとふいにそう聞かれた。
「分かんない。アヤは?」
そう聞くと、「う~ん、そうだなあ」とアヤは少しだけ悩んでから。
「プリクラ撮りたいっ」
って言って目をキラキラさせた。
