「いや、好きって、変な意味じゃなくて」


たぶん観月はそんなことくらい分かってると思うけど、あんまり恥ずかしいんで一応そう付け足しておく。




「うん、ありがとう」




「あたしも好きよ」って、見開いていた目を細める観月。



こうやって人が笑っているのを見てると、誰かのために何かするっていいなって思う。


その人がしてほしいことをやってあげたり、その人がほしい言葉をかけてあげたり。




そういうことを、咲之助にはうまくやってあげられないし素直になれないんだけど。

観月にならちゃんと"観月のためになること"をやってあげられる気がした。





「蕾ー、あたし今かなり機嫌いいからアイスおごってあげるね」




あたしの手を引っ張って再び歩き出しながら観月が言った。



背丈は咲之助とあんまり変わらないけど。胸を張ってあたしをぐいぐい引っ張ってくその後ろ姿は咲之助とは違った。





女の子なのに頼りになって。この手はいつも、明るいほうに明るいほうにあたしを引っ張ってってくれるんだ。