しばし会話がないまま、少しだけ時が流れた。
じりじりと、どこからかまだ初々しい蝉の声が聞こえる。
立ち止まったのが日向だったために、わずかな時間佇んでいるだけで頭のてっぺんが焦げそうだった。
そろそろカンカン照りの下にいるのに限界を感じ始めた頃だった。
その今にも焦げそうな頭に観月が手を乗せてきた。
「蕾はかわいいね。っんとにかわいいっ」
そう言うといつもより強めに撫でてきた。
「あたしもイチゴにしよっ」
水がキラキラと光ながら弾けたような、そんな声だった。
顔を上げると眩しい笑顔。
太陽よりも輝いて、だけど優しい。
ああ、あたし。
観月のそばにいるとなんだか安心する。
成長できないこの体でも、未来はあるんじゃないかって、そう思える。
「…アヤ」
呼ぶと、「ん?」て気持ちがいい返事が返ってくる。
「あたしもアイスよりアヤのほうが好きだよ」
綺麗な金髪に。
すらっと高い背。
いつでも笑って、あたしを安心させてくれる。
そんな素敵な"観月アヤ"が
「好きだよ。」
観月は驚きで目を丸くしてる。
女の子にむかって真面目な告白をしてしまい、あたしは後から顔が熱かった。
