なかなかしぶといまつ毛を、真剣な顔してとってる咲之助。
とってもらってる側としては、やることなくてなかなか暇で。
目の前にある咲之助の眉間に人差し指で触れてみた。
「何?」
まつ毛から視線をそらさないままで咲之助は聞いてくる。
意味のない行動だからあたしにも説明のしようがない。
取りあえず今は、
「分かんない」
って言っておく。
そして意味ない行動はさらにエスカレートして、眉間に触れた人差し指に力を込めてぐっと押してみた。
「はっ?」
一瞬怯む咲之助。
だけどすぐにあたしの指に対抗して、眉間に力が入ったのを感じた。
あたしの人差し指VS咲之助の眉間。
なんだかそんな状況。
咲之助は戦いながらもまつ毛をとるのに真剣。
あたしは眉間を押すのに心血注いで。
変な話し、お互いがお互いの顔に夢中になってた。
この時の自分たちを客観的に見た図は、あんまり想像したくない。絶対変すぎるから。
