なかなか取れない髪の毛に苛立ちを覚え、つったったままの咲之助を押し退けて机の引き出しに手を伸ばした。
そこからハサミを取り出して、絡みついた数本の髪の毛を切ってしまおうとする。
そしたら咲之助の手がそれを制して、「何すんだ」と言わんばかりに咲之助を振り返るあたし。
「何しようとしてんだよ」
咲之助の眉間にはまた深く深くシワが刻まれていた。
「取れないから切るんだよ」
ハサミを押さえ込む咲之助の手から逃れて背を向ける。
「分かったっ 俺が取るからもったいないことすんなってっ」
言うと、咲之助はあたしの正面に回り込んで来てハサミを取り上げた。
「何それ」
取れないって言ったり取るって言ったり、なんて優柔不断なんだ。
そう思ってふいっと冷たく視線を逸らすと。
「こっち向けって」
と、肩を掴まれ咲之助の方に向き直させられた。
なんだか今日の咲之助は変な感じだ。
あたしが服着替えるの時も黙って部屋から出てっちゃうし。
理解不能だった。
