大人になれないファーストラバー



ベッドの上に座って、ちまちまご飯を口に入れること15分。


あたしは、よく噛みすぎるのかなかなか食事が遅い。



お弁当箱を閉じてハンカチにくるんでお昼終了。


今から行ったら咲之助はもう職員室にいなそうだ。






カバンをぶらぶらさせながら保健室を出て、職員室に行くのをやめて咲之助の教室に向かうことにする。





近くの階段を上がろうとすると、廊下の向こうに同じく階段を上がろうしている咲之助が見えた。





廊下をできるだけ早く走って、咲之助に近づく。
どうやら今度は気付かないふりじゃなくて、本当にあたしに気づいてないみたい。




階段の半分くらいのとこにいる咲之助に追いついて、名前を呼んだ。






「サク」
「きゃっ」





名前を呼ぶのと、誰かの叫ぶ声が重なる。





「あっ、上履きがっ」




叫び声の方を見上げると、階段の踊り場でコケてる女子がいた。


あたしが名前を呼んだのにはみじんも気づかないで、咲之助もその女子を見上げてる。





ふと、咲之助の足元に何かが落ちて来るのが見えて視線を落とす。


スタントマンみたく階段の段差を落ちてくる白い物体。