大人になれないファーストラバー



水着も必要だと言うことは川か海か、それともプールか。

海だといいなあと、まあ旅行ならなんでも楽しみなのだが特にそう思った。



海と言えば、観月がしきりに「海行きたい」と言っていたことを思い出す。




「サク、観月も呼んでいい?」




日頃世話になってる観月に恩返ししたくて、着替えは済んだものまだドア越しにいる咲之助にお願いしてみた。




「別にいいんじゃない? 俺も友達来るし」





と、ドアにもたれかかったような音とともにそう聞こえた。




「そっか」




あたしは、胸のあたりのボタンにふいにひっかかってしまった髪の毛に気を取られながら言う。





寝起きはクセ毛のウェーブが少しきつめにかかってしまって、ところ構わずひっかかる。


困ったもので。
さっき咲之助が"遅刻をしたことは何回かある"と言ったが、そのほとんどの原因はこのあたしのクセ毛のせいなのだ。

咲之助の第2ボタンに髪の毛が巻き付いて、ほんと散々だった。







「…サク、助けて」



いよいよボタンに絡み付いた髪の毛が複雑化して来てどうしようもなくなり、咲之助に助けを求めた。