大人になれないファーストラバー




言葉に縛られていたのではなくて、義務的な気持ちでもなくて。

ただ居心地がよかった。
ただそれだけ。

必要としてくれて嬉しかったんだ。






目薬のように落ちてくる雨が、だんだんと不快になって地面から起き上がった。



なんで今まで蕾への気持ちに素直になれなかったのだろう。


頭は打ってないはずだが、なんだかわだかまりがスポンッと抜けてしまったように、気持ちがすっきりしている。




手のひらに落ちてくる、少し大きくなった雨粒を眺めて。
分かりかけているこの気持に名前を付けてみた。








「好き…?」






その響きは、喉を通って胸にじんわりと染み込んでくる。

今芽生えたと言うより、随分前からあったような。
やっと花開いた蕾への気持ち。



今まで、どんな言葉をこの気持ちに当てはめようとしてもどれもしっくり来なくてイライラしていた。


だけど、これはぴったり。
凸凹がピタッと合わさるように、ぴったりなのだ。