特に目的もなく店内の一番奥(佐伯から死角になるところ)を行ったり来たり。
その間、佐伯にどう言い訳するかを悩みに悩んでいた。
あんな話ししてる時に、まさか相手がテキトーに相づち打ってたなんて。
本気の告白だったならこれ以上恥ずかしいことはないだろう。
ああ、なんで「うん」なんて言ったんだろうか。
今度から聞こえなかったら「ううん」て言おう。そうしよう。
反省も兼ねて、気むずかしい顔で悩むこと15分。
そろそろ出ていかないと、佐伯が風邪引くかも。
店員にも怪しまれてきてるし。何か買わないと万引きみたいに思われそうだ。
まだまだ消化不良だが、近くにあったガムを掴んでレジに向かった。
財布を尻ポケットから取り出そうと後ろに手を回すと。
ちょうどケースの中に並ぶ肉まんやら餡まんが目に入る。
こんなまんじゅう1つで許してもらえるようなことじゃないだろうが。
せめてもの詫びに、佐伯に餡まんを買うことにした。
