"やばい"と思い、この会話を中断んしようと佐伯の名前を呼んだ。
「佐伯っ」
「咲之助くんっ」
2人の声がほぼ同時にそう言うと、直後に佐伯の手が首に巻き付いてきた。
「夢みたいっ 咲之助くんもあたしのこと好きだったなんてっ」
耳に息がかかるくらいの近さで、謎めいた言葉が脳に届く。
「え、いや、違う…」
なんだか俺も佐伯も大きな勘違いをしている気がする。
だって、話がまったく噛み合ってない。
どうやら「うん」だけじゃ乗り越えられない会話が、ここにはあったみたいだ…。
「咲之助くーんっ だいすきーっ」
絞め殺す気かっ!!ってほどぎゅうぎゅうと首を絞めてくる佐伯。
ただでさえ不安定なハンドルがふらふらとさらに左右に揺れて。
危うく自転車から転倒しそうになった。
