「あなた、誰?」


どうして私の名前を知ってるの?


「そんなに身構えないでください。とって食べたりしませんから(笑)」


「…誰」


「おっと、自己紹介が遅れました。僕はレイ。吸血鬼総監部部長を務めさせてもらってます。」


どうぞよろしく。と言いながら軽くお辞儀をした。


「なに」


「吸血鬼に驚ろかないんですか?」


「…興味ない」


「興味がない…ですか。そのうち興味を持ち始めますよ。クスッ ご説明は後ほど、先に僕らの本拠地にきていただきます。」


さあ、とレイは手を差し出す。が、なかなか手を取らない。


 この人について行けば、きっともう二度とこの家に帰ってくることはない。…でも私がいなくなったからといって、心配する人など…いない。もう…


「好きにすれば」


 ああ、なんて寂しい瞳をしているんだろう。大丈夫。これからはきっと、楽しい時間を過ごせますよ。


「では行きましょうか。」


レイは結愛に近寄り、そのままお姫様抱っこをした。


「ひゃっ」


「クスクスッ 大丈夫。落としたりしませんから。首に腕を回してくださいね?」


結愛はびっくりしてレイの顔を見上げた。

 暗くてわからなかったけど、すごく綺麗な顔…すっと切れ長の目、薄い唇、スッと筋の通った鼻、サラサラの黒髪、


「…?僕の顔に何か付いてますか?」


いつの間にか見入ってた。
結愛はブンブン首を横に振った。





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