ぼやけた視界にうっすら映ったのは仁王立ちをして佇む准の膝だけだった。 ゆっくりこちらに近付く准。 決して取り乱していない。 あたしの方が…気が狂いそうだ。 准だけには、見られたくなかった。 准だけには、知られたくなかった。 准だけには… じわりじわりと滲み出る涙。 きっと例えるなら、『悔し涙』なのかも知れない。 准に見られた無様な己への、悔し涙。 玩具の様にもて遊んだ兄への、悔し涙。 タラタラタラタラタラ… 壊れた蛇口みたくあたしゎ塩水の雨を頬に伝わせた。 『あんた…一体、誰に…』