「成、帰るよ。」
「え?」
成の手を引っ張った。
「分かったよ。」
「え?」
輝の顔はさっきと違って笑顔だった。
「華奈の気持ちは分かった。とりあえず、座れよ。」
輝はそう言って、顎で示した。
「最初からそう言えっての。」
「お前はいつも冷静だからな。本気かどうか、こうしねえと分かんねんだよ。」
輝は「悪いな」と言って笑った。
「あんたにも失礼な事言ったな。」
輝は成を見て言った。
「いえ、当然の反応だと思うんで。」
「さて、何て呼べばいい?俺は何とでも呼んでくれ。」
「えっと………、」
「成、こんな奴オヤジとかで呼んでやんなよ。」
「てめぇ。俺はまだ23だ!」
「16の成にとっちゃ十分オヤジだよね?」
あたしは笑顔で成に言ってみた。
「は?16?まさか中学生?」
何言ってんだ、こいつ。
「中学は15までだバカ。」
「あ、そっか。」
本気でオヤジだな。
「若いね―。輝さん、とでも呼んでよ。」
「あ、はい。俺は呼び捨てでも何でも良いんで。」
「んじゃ、呼び捨てね―。」
「あ、はい。」
「じゃ、お互い顔見知りになった所で本題に入って良い?」
こんなお喋りするために来たんじゃ無い。

