「もういっぺん言ってみろ。」
流衣の顔が険しくなった。
「何回でも言ってやるよ。あいつが幹部だから何だよ、総長の弟だから何だよ。」
「………てめぇ、自分が言ってる事分かってんのか。」
当たり前だろ。
「お前があの男と関わってるって分かったら、どうなんのかも分かってんのか。」
「分かってるよ。」
「…………お前、仮にも"黒桜"の女なんだぞ。幹部でもある。」
「だから?」
そう言った瞬間、
流衣に手を強く引っ張られ、ベッドに押し倒された。
「そういう気分じゃ無いんだけど。」
「お前は俺の女じゃねぇのか。」
「そうだよ。でも、成の事とは関係無い。」
「お前が俺の女って時点で、関係あんだろうが。」
「あたしは、"黒桜"の総長の"葛城流衣"の女として、成と一緒に居たんじゃ無い。幹部としても。
あたしは"華奈"って言う1人の人間として居た。」
「じゃあ、その"華奈"に聞いてやるよ。」
「何。」
「それは世間で言う"浮気"じゃねえのか。」
「…………そうかもしれない。」
バチっ!
叩かれた。
「でも!あの時成と知り合った事は後悔してない。成とは何も無い。一緒に同じ時間を過ごしただけ。」
「お前、あの男と一緒に住んでたのか。」
…………あっ。
「どうなんだ。さっき、同じマンションに住んでるだけだって言ってなかったか?」
「…………。」
「いつからだ。」
「…………。」
「いつからだよ!!」
馬鹿だ、あたし。
「1ヶ月くらい前から。」
「それが倉庫に来なくなった理由か。」
成、ごめん。

