「俺……の家出した理由、兄貴と喧嘩したからじゃないんです。」




――――――――――――――……成自宅にて(成視点ではありません)




その日、成は先輩との喧嘩に負けて帰ってきていた。



"黒風"の倉庫に行くと、仲間が心配そうに、成を見る。



「またかよ……。」
「大丈夫なのかよ?」
「本当に大我さんの弟かよ?」



心配する声と裏腹に嫌味の声も聞こえる。



仲間の中でも中3という早い時期に幹部になった成をよく思ってない奴等もいた。


幹部しか入れない部屋に入っていく、成。



ドアを開けると、すぐに副総長の豪が成に近付いてきた。



「成!大丈夫か?」



成の体を見ながら言う。



「大丈夫っす。すいません、また負けちゃいましたっ。」



笑いながら言う成。



「成…………。」



豪は、救急箱を出して、傷の手当てをしようとしている成を心配そうに見る。




バン!



「成!」



息を切らしながら、入ってきた、



連絡係の友と、

ムードメーカーの俊介、

無口の一喜。


「大丈夫かよ?」



俊介が成に駆け寄る。


「大丈夫っすよ、これくらい!」



明るく振る舞う成。




ガチャ



大我が入ってきた。



直ぐに、成を見たが何も言わずに総長専用のソファに座った。






その日もいつも通り、夜になると大我と成は車に乗って、家に帰っていった。