クラブの2階の奥にある部屋のドアをノックした。
コンコン。
「入れ。」
「失礼します。」
ドアを開けて、中に入った。
広いフカフカのソファに座る、葛城さん。
その斜め前に座る流衣。
流衣の前に座る和治。
「お久しぶりです、葛城さん。」
「あぁ、そうだな。まぁ、座れ。」
あたしは、葛城さんの正面にあるソファに座った。
「お前らは、出てろ。」
葛城さんの言葉に流衣と和治が部屋を出ていった。
葛城さんの部下も出ていった。
あたしは、さっき流衣が座っていた席へと移動した。
「華奈、さっきはどうした。」
「変な女が紛れ込んでて。」
「そうか。」
「葛城さん、髪切られましたか?」
葛城さんは、人に自分の変化を気づかれるのが好きだ。
それが、時には機嫌取りになって、あたしは毎回葛城さんに会うたびに言う。
「お、気づいたか?ちょっとすいたんだ。男達は気づかなかった。」
「女、ですから。」
「はは、そうだったな。」
「葛城さん。」
本題に入りましょう、と目で語りかけた。
「そうだな、本題に入ろう。」
「はい。」
葛城さんの顔が真剣になった。

