「はい?ここ…………?」



「そうだけど?」



暗証番号を入力して、マンションの中に入った。



「此処の、最上階。」



「最上階!?」



「うん…………。」



「お金持ちなんですね……。」



うん、金持ちだよ。


あたし、じゃなくてね。


流衣、の親が。


「そう?」



「はい。凄いっす!」



エレベーターに乗って、最上階に着き部屋を開け、中に入った。



「うわ―。広―。」



「ちょっと、座ってて。」



あたしはソファを顎で示した。



「はい。」と返事しながら、興味津々に部屋を見る男が少し可愛かった。



男にコーヒーを入れ、ソファに戻った。



「はい。」



「あ、有り難う御座います。」



「あ、あんた名前は?」



「あ、そうでした!俺、成って言います。」



「成、ね。あたしは華奈。華奈で良いから。」



「はい!華奈さん、って呼ばせて下さい!」



うん、好きに呼んで。



「あ、此処に居る時の条件。」



「あ、はい。」



「女は連れ込まないで。」



「勿論です!何でも言ってください!」



「それだけ。」



「え?それだけ?」



「うん、それだけ。」



「あの、他は…?家事をしろとか……。」



「良いよ。あたしが勝手に言っただけだから。」



うん、あたしが勝手に言い出した事だし。



「自由に使って良いよ。風呂もキッチンも何でも。居候だけど、此処に居る間はあんたの家だから。」



「有り難う御座います。」



成はいつの間にかしていた正座をしながら言った。