簡単な食事を済ませた後も、雨足は衰える様子はない。

激しい雷雨と突風。

幸い風向きは変わる様子がないので、この場に留まっていても大丈夫そうだ。

「私達が今いるのは、多分この辺りね」

ティアが地図を広げる。

かつてエジプトと呼ばれた古代遺跡のある土地を越えた辺り。

この先が中央アフリカになるのだが、嵐で気球による接近は不可能だった。

「多分嵐がおさまったら、またリハード少佐達が気球で来てくれると思うわ。私達はそれまでにEワクチンを回収しましょう。ローチ達に嗅ぎつけられないうちにね」

Eウイルスで進化したローチへの切り札であるEワクチンが、ローチの勢力圏にあるかもしれないというのは皮肉な話だ。