その甲斐もあってか、半日近く密林を歩き回っていたものの、一度も捕食動物や巨大爬虫類の襲撃を受ける事は無かった。

時折茂みの中で何かが蠢く音は聞いたが、そんな音がする時は動きを止めたり迂回したりして遭遇を避けたし、肉食獣らしき足跡を発見した時もルートを変更したりした。

君子危うきに近寄らず。

確か人間の時代の言葉だったか。

人間の中にも、頭のいい奴はいたんだな…などと考えつつ、若干の休息の後、俺は再び歩き出す。

…南米大陸に上陸する際に軍人から渡された携帯食料と飲料水は、早くも底を尽きつつある。

ティアを救出するならば、本日中が望ましい。

それが無理ならば、薬品汚染されているかもしれないこの密林の動植物を食料にする必要があった。