とても熟睡など出来なかったが、それでもある程度の体力回復にはなった。

夜明けと同時に、俺は再び行動を開始する。

…随分と密林の奥地にまで足を踏み入れたようだったが、それでも南米大陸の三分の一にも差し掛かっていない。

南米大陸は大部分が高温多湿の熱帯雨林で、標高200メートル以下の平地が広がっている。

エイプが住んでいるような街や村はなく、人間の時代の都市の廃墟が残るのみ。

まさしく野生の楽園であり、強い者だけが生き残れる世界だ。

…スミロドン、アリゲーターと、昨日は立て続けに凶暴な動物達に襲われた。

幾ら俺が呑気でも、流石に今日は警戒する。

不用意に音を立てない。

地面に残る足跡などに注意する。

出来る限り茂みなどに身を隠して行動する。

この地に生息する生態系の底辺に位置する動物ならば、当たり前のようにやっている事だった。