Treasure!

密着した状態の拳から、常識では考えられないほどの威力の打撃が繰り出された。

その予想外の威力に大きく体勢を崩すスカーフェイス。

「追撃を!」

ティアがグルカナイフで斬りかかろうとするものの。

「あっ!」

彼女の目の前で、スカーフェイスは天井まで跳躍。

そのまま壁を這って階下へと逃走する。

さしものスカーフェイスも、寸勁でのダメージが大きかったのだろう。

不利と見るや、素早く撤退する。

引き際の鮮やかさから見るに、相当戦闘慣れしているようだった。

俺はというと…ここまで来た事で疲労した体で寸勁を打った為に、しばらく動く事ができなかった。

全身の力を利用して放つ寸勁は、かなりの消耗を伴う。

倒せなかったものの、何とかスカーフェイスを退けただけマシだった。