既に俺だって、心肺機能の限界に近づきつつあった。

心臓は早鐘の如く打ち続け、酸素が足りないと肺が悲鳴を上げる。

だが、立ち止まって休息を取る暇はない。

…カサ…。

…カサカサカサカサカサカサ…。

『あの足音』は、8階からずっと俺達を追いかけてきている。

つかず離れずの距離を保ち、執拗に俺達を追い続ける。

少しでも速度を緩めれば一気に襲い掛かってくるだろう。

そんな脅迫にも似た、粘着質なものを感じさせる追跡…。