「お兄ちゃん、学校から帰ってきた後に何処か行くって言って出かけちゃったの」

「え?学校からは帰ってきたの?」

アタシは走ってリビングを出て渚の部屋に向かった
バタンと扉を開くと、真っ暗な部屋に
開かれた窓から入ってくる風で靡くカーテンが静かに揺れていた

「…お姉ちゃん?」

岬が後からついてきて
アタシのスカートをギュッと掴んだ
小さな岬はアタシの腰あたりまでしか背がない

アタシはその場に固まってしまった
冷や汗がアタシの頬をなぞるように流れた
真っ暗な部屋が
静かに揺れるカーテンが
渚の部屋に響く時計の音が

全てがアタシを不安にさせた