スーッと今までにないような
冷たい風が通った


「夕佳」


後ろから声がして
振り返ると、争介が立っていた


「……争…介?」


「なに泣いてんだよ」


苦笑がちに困ったような笑顔を見せる争介に胸が高鳴った


「何で…いるの?」


「……………


おまえの声が聞こえたから」




え?
アタシの声?




「どういう意味?わかんないよ」




首を傾げるアタシの後ろを指差し、争介はいきなり真面目な顔になった

アタシはゆっくり争介が指差した方向を振り返った