【完】宛先不明のラブレター



果枝だ、絶対。

さっきから俺を驚いた表情で見つめるままで、何も言わないけれど。


俺の心臓が、いや、俺の体全てが、目の前にいる彼女に反応しているから。




「…久しぶりだね」

「……さと、る?」

「うん、…果枝、でしょう?」

「…っ!」


俺の言葉を聞いて、何かが弾けたように勢いよく果枝は俺に抱きついてきた。

驚いたのと果枝の勢いとで少しよろけたけれど、なんとか持ち堪えた。


手からするりと、持っていた袋が地面に落下した。