果枝だ、絶対。 さっきから俺を驚いた表情で見つめるままで、何も言わないけれど。 俺の心臓が、いや、俺の体全てが、目の前にいる彼女に反応しているから。 「…久しぶりだね」 「……さと、る?」 「うん、…果枝、でしょう?」 「…っ!」 俺の言葉を聞いて、何かが弾けたように勢いよく果枝は俺に抱きついてきた。 驚いたのと果枝の勢いとで少しよろけたけれど、なんとか持ち堪えた。 手からするりと、持っていた袋が地面に落下した。