【完】宛先不明のラブレター



心臓の音が耳元で聞こえた。

ドクドク、と異常なほど速く動いているのがわかる。

手に汗がにじむ。


…こんなに緊張するのなんて、いつ以来だろう。

元々あまり緊張しない人間なのに。


果枝が絡むと、こんなにも俺は“俺”でいられない。




ガサガサ、と茂みを掻き分けて広場へ出た。

3年経ってもやっぱりそこは全く変わってなくて、少し懐かしい気持ちになった。


…けれど俺は、ベンチに視線が釘付けだった。




「…果枝、?」