【完】宛先不明のラブレター



「……買ってしまった…。」


背中にコンビニの店員の声を受けながら、俺はコンビニを出た。

手には、ホットコーヒーとホットココアの缶が入った袋をぶらさげて。




…何やってるんだろう、と思わずにはいられなかった。

でも、俺の頭が“今日しかない”と告げていた。


一歩が踏み出せない俺が、一歩を踏み出すために。前に進むために。




…今日は、果枝と初めて会った日だったから。




「…今年も来たなー…」


高台の広場に上がる階段の下に立って、上を見上げた。