だからといって、果枝を選ぶわけではない。 果枝を選べるわけでもない。 そんなことも、もちろんちゃんとわかってる。 「…わた、しは…聡のこと、愛してる。聡だけを愛してる。聡が、運命の人だって、初めて会ったときに思った。…でも、聡の運命の人は、私じゃないんだね」 取り乱していた茉莉が、ぽつりとそうこぼした。 俺の方を見ることはせず、床の一点を見つめたまま、諦めたような悲しい声色で呟いた。 …運命の、人。 茉莉と結婚したときは、そんなこと思いもしなかった。