「聡、あの日何があったの?」 夕食のときだった。 茉莉が俺の方をしっかりと見つめながら、そう言った。 …あの日。 俺が初めて、朝帰りした日。 家に帰らなかった日。 …果枝を、抱いた日。 そして、果枝と別れた日。 ふっと果枝の顔が脳裏をよぎったので、俺は視線をご飯から茉莉に向けた。 「あの日って?」 「とぼけないで、わかってるくせに」