そんなわけで(どんなわけ?)オレはティラミスを作ることになりました。


ティラミス。

北イタリア生まれのチーズケーキの一種らしくて。
語源のイタリア語Tirami su!は「私を元気付けて」とかの意味もあるらしく。


って。

天使様。
オレにそんなもん作らせてどうしようっての?


元気がない……ようには見えないし。


なんだろう?
ま、意味はないんだよな?


っていうか。

オレに元気づけてって本気で遠回しで言ってたら。
それはそれで怖すぎるぞ、真理矢。


にしても。


「ティラミス、ティラミス……っと」



オレは今、近所の本屋に来て。

女子じゃないけど、「はじめてのお菓子作りの本」を手にしている。


つーかさ。

今の時期ってバレンタインの影響力で、手作りお菓子本がいろいろ平積みされててさ。

それをきゃーきゃー言いながら、スカートの超短い女子共が戯れている。


それを押しのけるように、オレ、手を伸ばし。

嫌な目で睨んでくる女子共に愛想笑いを浮かべながら、一冊やっとの思いでとり。


例のモノの作り方を探す。



なんでオレ、こんな思いまでしなきゃならんのよ。


それもこれもあの天使様のせいだ!!