数分後。
 
 
先程まで見渡す限り白一色だった部屋には黒尽くめ達の無残な死体が転がり、床一面には血の池ができていた。
青年は振り向かず、部屋を後にし、廊下の奧にあるエレベーターへと乗り込み、息を吐く。
 
 
―あれからどのくらいたったんだろうな…あいつら、まだ生きてんのかな。
 
 
記憶を取り戻しているとはいえ、一体どれくらいの間この施設で眠っていたのかはわからない。
だが、それだけに為さなければならないこと。
 
 
今はこの施設を出る。
 
 
これだけははっきりしていた。
 
 
「待ってろよ…。」
 
 
誰にともなく、聞こえるか聞こえないかも定かではない小さい声で彼は呟き、エレベーターの下へと行く釦を押した。