「ふん…ここか。」
 
 
煙草をふかしながら地図を指差す、30歳近い年齢の男。
 
 
「はい信長様。あの小癪な半蔵めの話によれば…。」
 
 
男の前の椅子に座り、うやうやしく頭を下げる、およそ70歳近くには見える老人は笑顔で続きを言い出した。
 
 
「我々の支配下に対し抗おうとする馬鹿者が最も多い、早めに平定しなければならない場所らしいですな…カッカッカッ。」
 
 
「…清盛。」
 
 
清盛と呼ばれた老人は男の言葉にビクッと背中を震わせ、笑顔を消した。
 
 
「クックックッ…ならば何か策は考えているか。」
 
 
「はっ…はい…息子の敦盛を明日にも派遣するつもりです。」
 
 
「…ほう、敦盛を、か。ならば私の守りはどうしてくれるのだ…クックックッ。」
 
 
「のっ、信長様には…柴田と前田がおります故…。」
 
 
清盛は汗だくになっている。
そしてそれを見ている信長は愉快そうな表情を全く隠さず意地悪に責め立てている。
 
 
「ククッ…わかっている。柴田も前田も、清盛よ、お前の働きだ。」
 
 
「敦盛に万が一のことがあれば…次は私が動こう。」