―マジでわかんねえ…。
 
 
『三田…三田ァ…おいっ!!』
 
 
いくら呼びかけても考え事に夢中になり全く答えない三田へと、担任の世界史教諭はプレゼントとして怒鳴り声とともにピンクのペンが投げ込まれた。
 
 
「!!!」
 
 
しかし三田は首を傾げることにより投げ込まれてきたペンを易々と翻す。
 
 
同時に…
 
 
「いったーい。」
 
 
「あっ…橋口…悪りぃ。」
 
 
三田がよけたことで真後ろの橋口に見事ヒットしたらしい。
そしてクラスは笑いの渦に巻きこまれた。
 
 
「もー!何よけてんのよー。」
 
 
「マジ悪りぃ。つい、な!!」
 
 
その時、三田は不意に他のクラスメイト達とは異質の妙な視線を感じ、視線の主を探った。
 
 
―……!!
 
 
最前列に座っている遠藤祐輔と目が合ったのだ。
遠藤は、周りのクラスメイト達が笑っている中でそこまでピクリともしなかったのが、三田と目が合った瞬間にニャッと笑い、また担任の方へと姿勢を戻していった。
 
 
「…?何なんだ、あいつは。」