数日が過ぎた。
 
 
相変わらずテレビでは連日、日本全国で起きている不可解な抗争や犯罪が取り上げられている。
 
 
西暦2083年に世界中の核保有国全てが核廃棄宣言をし、その後2105年には国連に国家として認可されている国の約9割が資本主義になり紛争がなくなったことと国内の犯罪率が減少したことを受け大規模な軍縮をした。
そして日本も2117年にそれまで法律で定められていた銃刀法の規制を完全撤廃したが、それでもなお犯罪率は撤廃前以上に減少の一途を辿っていた。
 
 
それだけに現在2142年、日本中で起こっている諸事件は日本国内どころか、平和になっていた世界各国を騒然とさせるほどの騒ぎとなっていた。
 
 
世界史の授業中、三田は教科書を見ながら、ふと先日のことを考えていた。
 
 
ゼーマンの言っていた、日独共同の実験として課題とされた遺伝子による最強の軍隊。
 
 
そしてその言葉が真実ならば、今起きていることの原因も何となくだが理解できなくはない。
 
 
しかし三田にとって最も理解できないのは200年以上昔の計画が何故今になって発動したのか、だった。