―目を覚ますと俺は見渡す限り白く、殺風景な部屋の中にいた。
 
 
「…! ここはどこなんだ?」
 
 
―思い出せない、目を覚ます前に何があったのかを。
 
 
その時、青年の目は部屋の隅にある黒いアタッシュケースを捉えた。
 
 
―…?何だ、この黒い箱は…
 
 
不思議に思いながら青年がアタッシュケースに触れてみた途端、カチャリという音と共にそれは開いた。
そして、その箱には一筋の輝きを放つ短剣と、青年の顔写真が入っていた。
 
 
―これは…俺の顔?なんでこんなものと?それにしてもこの短剣…何故…だろう…懐か…しい
 
 
不思議な懐かしさを感じながらその短剣を手に取った瞬間。
 
 
―!!!
 
 
雷のような得体の知れない何かが、青年の足元から頭頂に向かい突き抜けるように走り、同時に次から次へと今までの全ての記憶が彼の頭に走馬灯のように浮かんでは入り込んでいく。
 
 
「そうか…。」
 
 
その時、短剣を持ち立ち上がったままの青年の前に設置されたドアが勢いよく開き、サーフィンで着用するウエットスーツを想像させるような黒尽くめの男達が部屋中へと入ってきた。
しかも男達は全員刀を持ち、次々に青年を囲む。