あたしだけのお医者さん


そう思ったときに、ドアが開いた。



「お粥持ってき……っておい!

ベッドに入ってろって言ったろ!

まったく……」




促されるまま素直にベッドに入る。




「ん?………」



あたしの額に春人の手が触れる。


冷たくて気持ちいい。



「由香、ちょっと熱計ってみて。」


春人はあたしのパジャマのボタンを少し開けると、脇に体温計を挟んできた。





あたしの首筋に指を当てて、脈を診てる。








ピピッ"




しばらくして、体温計が鳴った。





あたしが取るより先に、春人が取り上げる。





はぁーーー
って、ため息が聞こえる。




「7.9度。

だからベッド入ってろって言ったのに………


悪かったな、無理に退院させたりして………。」




「春人のせいじゃないよ!!


あたし嬉しいよ……ケホッ……春人が傍に居てくれて。」




春人はあたしの頭を撫でながら、

もうわかったからしゃべんな、って言って、凄く優しい顔をした。