あたしだけのお医者さん


時刻は12時。




あたしはと言うと………




春人の車の中。




「由香、気分悪くないか?

もうすぐ家だからな……」





運転中なのに、片方の手はあたしの手と繋がっている。



危ないからやめてって言っても、離してくれなかったんだもん。






「着いたよ」



大きいマンションの駐車場に入った車は、いつの間にか止まってた。





高級そうなマンション。

やっぱりお医者さんなんだなって思った。




エレベーターで春人が押したボタンは最上階………。



本当に、こんな庶民のあたしが、先生なんかと付き合っていいんだろうかと本気で思った。