「だいぶよくなったな。もう喉も殆ど痛くないだろ」 確かに殆ど痛くないし、前より咳もましになった。 黙ったまま頷くと、あたしの髪をクシャってなでて、整った顔を崩してあたしに笑いかけた。 そのあと春人はほっとした顔で、 「よかった。 ホント安心した」 って、あたしに聞こえるか聞こえないかぐらいの声でそう言った。