前が終わって、背中にも聴診器が当てられる。
慌てて深呼吸すると、
「ん、偉いな。
そのままおっきく深呼吸しような」
と頭を撫でられ、またドキドキしてしまった。
聴診器が離れて、背中をトントンってしたあと、
「よし、服直していいぞ」
そう言われ、ボタンを閉めた。
「由香、小さい時喘息だった?」
びっくりした。
春人には何でもお見通しなのかな。
「うん、小学校最初ぐらいまで…ケホッ
でも、もう治ったよ…?」
これでも、昔よりは体は強くなった方だ。
「うん、
だけど、最近またちょっと怪しいな…。
苦しくなったらこまめに吸入して、様子みよう。
入院は嫌だろ?」
春人は苦笑しながらそう言う。
「いや!
もう入院は、いや…!ケホッ
いや…ゴホッゴホッ」
苦しい…
「分かったから落ち着け、
ほら、深呼吸深呼吸。
ゆっくり息しよう」
春人の腕のなか、やっぱり安心する…。

