「なんで診察の度に、毎回聴診器当てなきゃいけないの?」
心配してくれてるのは分かるけど、正直恥ずかしい思いは極力減らしたい。
すると春人はイヤーピースを一旦外して首にちょっと引っ掛けると、あたしの胸から聴診器を離した。
「何でかって?」
コクコク頷く。
「由香、自分でも気付いてるかも知れないけど、具合悪くなると、すぐ息ゼーゼーしちゃうよな?
確かに。
また頷く。
「由香がそうなって苦しいってなったら、俺は早くその程度を把握して治してあげたい。」
また頷く。
「聴診器は、由香みたいな症状が出る人への診察道具として、凄く有効な器具なんだ」
そっかぁ…
それで春人は毎回あたしの為に聴診器当てて、薬とか調整してくれてたんだ。
納得したあたしをみてクスッと笑った春人は、
「分かった?
だからもうちょっと頑張ろうな」
そう言ってイヤーピースを耳に戻し、またあたし
の胸に聴診器を当て始めた。

