あたしだけのお医者さん







「由香、進路のことは元気になったら考えような。


今は良くなることに専念しよう。

まだ時間あるから」





背中をさすりながら抱きしめてくれて言う春人に、安心して頷いた。







「よし、ちょっと胸の音診ような。


前開けるよ」






そう言って上からボタンが外されていく。








春人は聴診器を耳にかけて先っぽを掌であっためると、







「おっきく深呼吸しような」



そう言って胸に当ててきた。





今日もうすでに二回目だけど、やっぱり慣れない。

恥ずかしくて赤くなる。



「慣れないな(笑)」




って笑う春人にますますドキドキした。







いつもより当ててる時間が長いようなきがして、気になってたことを聞きたくなった。









「ねぇ、春人?」




春人は「ん?」って短くかえしてあたしの胸の音に集中してるけど、こっちを見ながら優しく微笑む。