あたしだけのお医者さん








すると、




コツンッ



軽く頭を小突かれた。







「こら、また無理して。


俺に隠したってすぐばれるんだから無駄だよ(笑)


息しづらいんだろ?」






…やっぱりばれちゃう。





もうごまかせなくて、コクンと頷いた。








「やっぱり。

由香、ゆっくり深呼吸しような。

焦らなくていいから、ゆっくりな」






春人はあたしの体を少し起こすと、優しく背中をさすってくれた。










ピピッ








しばらくして鳴った体温計を取り出すと、表示窓には38度2分の数字。








昨日よりは下がって嬉しかったけど、春人は難しい顔してる。







確かにあたしもさっきから頑張って深呼吸してるけど、正直ちょっと苦しい。







「やっぱり、起きて少し経つと上がってくるなぁ…」







春人は独り言みたいにそう言った。