あたしだけのお医者さん






春人はあたしを優しくベッドに寝かせてくれて、
胸の下辺りまで布団を掛けてくれた。






あたしがボタンを外そうとする前に開けられて、体温計を脇に挟まれる。






春人はゆっくりあたしの髪を撫でながら、さりげなく布団の中に手を入れて、指をあたしの手首に当てた。







いつもそう。


あたしが具合悪いなあって思うと、気づかないうちに、ほんとにさりげなくあたしの脈をとってる。








気づいたのは最近だけどね。







何も言わないときでも、なんで春人には分かっちゃうのかなぁ…。









「由香?

さっきから難しい顔してどうした?


苦しいか?
喉痛いのか?」







あたし、そんなに変な顔してたかなぁ…。









「ううん…ケホケホッ


ちょっとぼーっとしてただけ。


平気だよ…ケホゴホッ…」