あたしだけのお医者さん





「やってみる前から諦める必要なんてないんだよ。



向いてる向いてないなんてやってみなきゃわからないし、本人にしかわからない。




やらないで後悔するぐらいなら、やって失敗した方がいいだろ?」








春人の一言一言が、心に沁みる様に入ってくる。








「それにな。


俺はむしろ由香には看護師向いてると思うよ?」









「へ?」







びっくりして、まぬけな声を出してしまう。








そんなはずないよ。


バカだし、

おっちょこちょいだし…







でも、春人から出たのはそんな言葉じゃなくて。









「頭がいいだけじゃ看護師は勤まらない。



深い深い優しさと愛がないと、できない仕事なんだよ。




由香は、もう十分過ぎるくらいにあるよ」









春人はにっこり微笑んだあと、なんたって俺の女だからな、って言って、
あたしを抱きしめてくれた。