ふわり
空気が動いたようなきがして目を開くと、春人に肩を抱き寄せられた。
「またそんなこと気にしてる。
迷惑なんて思うわけないだろ?
もう俺…由香じゃなきゃダメなんだ。
ほんと、なんでだろうな。
今までこんなに誰かを愛しいなんて思った時はなかった」
まだ泣いてるあたしの頭を自分の胸に押し当てて、続ける。
「俺に寄ってくるやつはみんな、肩書きとか見た目だけしか見てなくて。
誰も本気で、俺の中身を見ようとしてくれた奴なんていなかった。
でも由香だけは、何かが違ったんだ」
え?と思って春人を見ようとするけど、頭を押さえられてるからあげられない。
「初めて見た時から、周りとは違う何かを感じたんだよ。
関わるうちに、日に日に好きになっていく。
もちろん、いまでも。」
春人はあたしの頭を自分の胸からゆっくりと離すと、あたしの目を真っすぐに見つめた。

