彼の名前を他人の口から聞いた事で想いは強まっていく。

 あの時のように抱きしめて欲しい。優しく笑いかけて欲しい。でも……

 エリザベスはキリリと目の端をつり上げると、すっくと立ち上がった。

「あなたのご好意はとても嬉しく思います。しかしまだ会えません」

「! 何故です?」

「私、彼と約束しておりますの。それが果たされるまで会わないと誓いました」

「そんな!」

 ヘンリーも立ち上がり焦った表情を見せた。