エリザベスは我が目を疑った。

 あれほど焦がれていた彼が目の前にいる……

「ああ……っベリル」

 過去の記憶と今までの想いが堰(せき)を切ったようにあふれ出し言葉が詰まる。

 ゆっくりと歩み寄り、その温もりを確かめるように静かに抱きしめた。

 彼は何も言わずその体を受け止める。

 伝わる温もりと優しさは今までの苦しみを全て流し去ってくれるように浸透していく。

 死なない彼から伝わるのは確かな命の脈動──終わらない生を続けなければならない彼の意志はいくばくかも計り知れない。