60歳近くなったベスは、お気に入りの公園のベンチで日がな一日過ごすのが日課となっていた。

 ベリルとの約束を交わした公園──彼女は時間があるといつもここに来ていた。約束を忘れないため彼との記憶を忘れないために……

 目を閉じて夢のような数日間を思い起こす。

 木の葉が舞うほどの風だったけれど、彼女にとっては心地よかった。

「……」

 目を開きのんびりと目の前に視点を合わせる。

「!」

 ふとそこに人影が視界に入った。

 そこにいたのは紛れもなく──