それからさらに5年が経ち、55歳になったエリザベスは息子のルイスを次期社長とするための手続きを取り始めた。

 まだ25歳という若さのルイスに重役たちから異論の声が出たが、彼女はそれに笑って応える。

「大丈夫よ、あなたたちで支えてあげてちょうだい。この会社は、あなたたちのモノでもあるのよ」

 その微笑みに一同は喉を詰まらせた。

 彼女の笑顔には誰をも沈黙させる力がある。

 もちろん、ルイス本人も多少戸惑った。

 まだ経験も浅く自信もない。