「ベリルのエンブレムです」

「え……」

「あいつは滅多にエンブレムなど記さないんです。それをわざわざ記している」

「……彼の」

 少しずつ表情が軟らかくなる。

 スカーフを首に巻き満面の笑顔を浮かべた。

「!」

 こんな顔はお前じゃないと出せないな……

 ピエールはその笑顔を見て後悔が薄らでいく。

 しかし、どうしてプレゼントなんか?

 今まで何もしなかったのに……

「!」

 不思議がっていると、彼の携帯が着信の振動を伝えた。